2018年 06月 04日
「家族に乾杯」の効果 その3 |
父が亡くなって2年後、あすなろ書房の山浦さんがおいでになり、トルストイの民話を出版したいのだけど、出来ればもう少し、漢字を少なくして、子どもでも読めるようにしていただけませんか。という相談がありました。
父は大正元年生まれ、生きていたら、決して許さないだろうなあと思いつつ、山浦さんの熱意に押され、「お父さんごめん!」とこころで詫びながら難しい漢字を仮名にしたり、ルビをふったりしました。もちろん翻訳には手をつけておりません。
(あすなろ書房刊 本体価格900円+税 和田誠さんが気に入って、帯の文句も書いてくださいました)
全5巻のトルストイ民話集の1巻目「人は何で生きるか」父が学生時代、友人の家の本棚から何気なく手に取り、その後の生き方を決定づけたと言ってもいい作品がこれだったのです。
そして、あまたある本の中から、フミヤくんが「これを記念に買う」と言ってくれました。
さあ大変、放映の翌日、あすなろ書房の山浦さんから電話。「なんで教えてくれなかったんですか!今日会社に行ったら、社長たいへんなことになっています、とみんなが大騒ぎしてるんですよ!」
という訳で、急きょ増刷、今日届きました。お待ちの皆さま、どこの書店でもお買い求めいただけますのでぜひこの機会に。
なお、残りの4巻はもうありません。皆さまのご要望が多ければまた増刷となるかもしれません。
実は、テレビのせいでベストセラーになる作品に大したものはない、と色々な場で申し上げてきました。けれどもこの言葉はそっと取り消さねばなりますまい。まあ、ベストセラーにはならなくても、版元が、品切れにしないで済む程度には売れてほしいと思うのです。
生前、父は、2巻目の「イワンの馬鹿」が教科書に取り上げられるような世が来ることを夢見ていました。
清水真砂子さんも、「この形なら、学生も気軽に手に取って読めそう。よくぞ出版していただきました」と献本のお礼をあすなろ書房に寄せて頂き、そのことがきっかけで、親しくさせていただいています。74年生きてきて、こんなことがあると、老いることもまんざらではないと思うのです。
本当に蛇足ですが父への生前の親不孝を詫びながら、この全5巻の一冊一冊に書きました「解説にかえて」という私の拙文にもお目通しくださればありがたく存じます。
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by kusuo522
| 2018-06-04 21:15
| 本と絵本
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Comments(2)