2019年 09月 02日
『ホメ―ロスのオデュッセイア物語』 |
『ホメ―ロスのイーリアス物語』に手こずったので、オデュッセイアに取り掛かるのをためらっていたが、いざ読みだすと・・・
なんと、すらすらと読めるではないか。そして、とうとう1日で読んでしまった。
およそ、3000年前にホメ―ロスという盲目の吟唱詩人が、語り継いだものというこの2つの作品は、長い年月を経て、素晴らしい作品としてギリシア語から世界各国に広まったものだ。
もともと膨大なその叙事詩をそのまま書籍にすることは難しく、その中で、少年少女にもわかるように、かつ、心躍る冒険物語全体を正確に伝えた作品は、この作品をおいてはないということで、バーバラ・レオニ・ピカードのこの作品が、各国で翻訳されているようだ。
10年にわたるトロイとの戦争を終え、その後10年をかけて、故国のイタケー島に帰るオデュッセイアの苦難に満ちた航海。イタケー島で待ち受ける妻ペーネロペイアと立派に育った息子テーレコマス。そして、ペーネロペイアを妻にして、オデュッセイアの国の財産を狙う者たち。
この手の読み物は大嫌いだと思い込んでいた自分自身に驚いた。
これは単なる戦記物ではない。練りに練られた優れた文学なのだということを思い知らされた。
叙事詩とはいえ、登場人物一人一人の細やかな、心の動き、迷い、そして魅力が迫ってくる。無駄な記述が一つもない。泣ける。
この叙事詩をホメ―ロスがどのように語っていたのだろうと3000年前のその様子に思いを馳せてしまうのである。
思い切って読んでよかった。高杉一郎さんの訳が最高。
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by kusuo522
| 2019-09-02 16:57
| 本と絵本
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